研究概要 |
今年度は、既存資料から、これまで中高年女性が次世代就業継続支援に果たしてきた役割を検討した。 その中で、最もはっきりと指摘できることは、乳幼児を持って働く母親の親世代である中高年世代は、現在もなお、保育所利用に伴う時間外保育や病児保育等「通常の保育がカバーしていない範囲を補完」のみならず「通常の保育者」として、大きな役割を果たしているということである。 1995年10月に認可保育所に在所している4・5歳児は各々およそ40万人に上るのに対して、産休明け、育休明けに該当すると思われる0歳児の在所者はおよそ3万2千人、1歳児の在所者は0歳児よりも10万人ほど多い13万人弱であり、厚生省の調査による認可外保育(1997年)の数字を加えても、保育所に在所しているのは0歳児でおよそ4万5千人、1歳児でおよそ15万人である。しかし、国勢調査によれば、1995年に両親と子供だけで構成され名世帯で、認可保育所に在所する0歳児数のおよそ5倍にも上る153,653人の0歳児は両親とも就業している。このうちの相当数の母親は非農林業雇用者である。 従来の諸研究は、「親との同居」が育児期の女性の就業継続を規定する大きな要因であると指摘しているが、核家族においても、乳幼児を持つ就業者数は認可保育所・認可外保育所の在所者数を大きく上回っている。「三世代同居」に限らず、核家族でも、「近居の親」など親世代が「主たる保育者」としての役割をになっていることが多い。この傾向は、とりわけ低年齢児のいる場合に顕著であった。親世代との同居・近居が今後どのように変化して行くか、また、中高年自身のライフスタイルが今後どう変化して行くのかは、低年齢児保育の動向とあいまって、今後の女性労働者の育児期の就業動向を大きく作用するだろう。
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