中高年女性が次世代女性の就業継続支援に果たしてきた役割を、男性労働者の労働と生活や、公的保育の整備状況などの背景を考慮しつつ整理し、今後の変化を展望することを試みた。 具体的には、既存資料の再整理を行うとともに、(財)家計経済研究所の「消費生活に関するパネル調査」の個票を使用して就業継続規定要因の分析を行うなどの手法を採用した。分析に際しては、問題の所在を明確にするため、対象を雇用労働従事者に限定した。 分析結果からは、(1)女子労働者が常勤で雇用就業を継続する際、第1子の出産では三世代同居や夫の職業など、家庭内の保育条件に関する変数に有意な効果は見られないが、(2)第2子以上の出産では、家庭内の協力体制の有無の効果が大きいこと、(3)末子年齢3歳未満の就業については、パートや嘱託で就業する場合にのみ準同居(生計を別にする同居または敷地内別棟居住)が促進効果、三世代同居が抑制効果を示すこと、(4)同じく常勤就業で夫が公務員の時に促進効果が見られることなどが明らかになった。また、第1子の就学前後で雇用就業の形態に変化が生じている可能性が示唆された。 三世代同居は女子労働者の就業を促進するというこれまでの通説は変化しつつあり、保育条件の整備とともに、夫が保育に関われる環境整備の必要性が高まっている。 今後夫の労働条件と保育関与の関連を具体的に把握すること、また、乳幼児期以降、小学校就学から低学年の子を持つ親に対する支援の必要性について、もう一段踏み込んだ分析を試みる。
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