現在、2001年を目途に、日本の金融制度改革を進めようという日本版ビッグバンが進行している。この改革の方向は、端的に「市場のグローバル・スタンダードへの適合」と称されている。しかし、この「グローバル・スタンダード」がいかなる意味でスタンダードであるのか、という点については必ずしも明瞭ではない。本研究は、金融制度と国際通貨体制を直接の対象としつつ、第1に、現在語られている「グローバル・スタンダード」を、歴史的射程のなかで捉え返すことを通じて、その歴史的意義と限界を明らかにすること、第2に、「グローバル・スタンダード」への適合の仕方を、史的かつ比較史的に検討することを目的としている。 本年度は、まず、第1に、金融システム、国際金融システムにおける「グローバル・スタンダード」が、日本、アメリカ、ヨーロッパ諸国、アジア諸国で、それぞれどのように把握されているのかを、各国資料により実証的に把握することを課題とし、1998年秋までは、主として日本銀行、FEDの資料収集を行い、1999年1月には、BOE本店及びBOJロンドン事務所において、現在の金融システム改革に関するヒアリング調査および資料収集を行なった。また、第2に、わが国でそれがどのように受け止められ、いかなる方向が選択されて来たのかを、その内部対抗も含めて検出することを目的に、資料収集と、収集した資料の整理を行い、次年度以降の検討課題、1、国際通貨制度、2、各国の金融システムのあり方、3、各国の金融政策の異動の3つの点からの「グローバル・スタンダード」の捉え方と、「グローバル・スタンダード」の受容条件の解明という課題を追求するための素材整理を行った。
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