現在、2001年を目途に、日本の金融制度改革を進めようという日本版ビッグバンが進行している。この改革の方向は、端的に「市場のグローバル・スタンダードへの適合」と称されている。しかし、この「グローバル・スタンダード」がいかなる意味でスタンダードであるのか、という点については必ずしも明瞭ではない。本研究は、金融制度と国際通貨体制を直接の対象としつつ、第1に、現在語られている「グローバル・スタンダード」を、歴史的射程のなかで捉え返すことを通じて、その歴史的意義と限界を明らかにすること、第2に、「グローバル・スタンダード」への適合の仕方を、史的かつ比較史的に検討することを目的としている。 本年度は、昨年度に引き続いて資料の収集を行い、あわせて収集資料の整理・分析に着手した。すなわち、第1に、1999年4月以降、BOE本店及びBOJロンドン事務所において、現在の金融システム改革に関するヒアリング調査およびIMF成立期におけるイギリス政府大蔵省、イングランド銀行、貿易委員会の各種資料、ケインズ他エコノミストの論文、書簡、往復文書などのイギリス側資料収集を進め、2000年3月に補足調査を実施した。また、わが国でそれがどのように受け止められ、いかなる方向が選択されて来たのかを、その内部対抗も含めて検出することを目的に、日本政府大蔵省、日本銀行における政策資料の収集を行った。第2に、これら収集資料の整理を行い、別掲のような論文を取りまとめた。次年度は、研究の最終年度として、これらの検討を、1.国際通貨制度、2.各国の金融システムのあり方、3.各国金融政策の異動という3点から、「グローバル・スタンダード」の捉え方、「グローバル・スタンダード」の受容条件の解明を、論文に取りまとめたい。
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