最終年度である本年度の特筆すべき成果は、まず昨年度に引き続き11月中旬から12月初旬にかけて渡欧し、ドイツ・ベネルクス国境沿いの6エウレギオのうち、残りの3エウレギオを訪ねて、現地調査を遂行しえたことである。いずれも交通不便なところに立地しているが、昨年度の学習効果と事前の周到な準備がものをいって、首尾良くKleve(ドイツ)のEuregio Rhein-Waal、Nieuweschans(ネーデルラント)のEems Dollart Regio、Maastricht(ネーデルラント)のEuregio Maas-Rijnの事務局を訪問し、それぞれの事務局長から聞き取り調査を行い、貴重な資料を入手することがことができた。いずこも相当の時間を割いて丁寧に対応してくれた。これでドイツ・ベネルクス国境沿いのエウレギオをすべて歴訪し、共通の関心事とそれぞれに固有な利害状況との実態を調査することができた。また、この機会を利用してブリュッセルを訪ねて資料を集め、ルーバン・カトリック大学では専門研究者と意見交換を行うこともできたことも収穫であった。さらに、長年の共同研究者であるGerhard-Mercator-Universitat DuisburgのGunter Heiduk教授を9月に京都大学に迎え、1ヶ月にわたり集中的に情報・意見交換を行い、EUの地域政策に詳しい同教授から、最新動向について貴重な情報をえることができたことは、本研究の進展に大いに役立った。このような研究の成果は、これまでに刊行された論文、編著に盛られているが、本年ドイツで開催される社会経済史学会での報告に反映させる所存である。
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