平成十年度の研究実績は、およそ以下のとおりである。(1)図書整備については、東エルベ農村社会史・ドイツ農業史関連の基礎文献を幅広く収集する、ここ数年来の作業を継続し、いっそうの整備と拡充に努めた。(2)図書館調査は、日本の国会図書館を中心に計二度実行し、また、ベルリン工科大学のハインツ・ライフ教授ならびにフンボルト大学のローター・バール教授から、本研究遂行上必要なレビューを受けた。その際、ベルリン・Teltow郡史研究の必須文献といってよいErnst Fidicinの1857年刊の古典的著作と、Liese1ott Enders編のOrtslexikon、そして、Felix Escherのベルリン「都市近郊農村」史論等等の重要図書の所在に関する教示を得、さらには、ドイツ・ベルリンとイギリス・ロンドンを比較史的に検討ずる必要性の教示をも得たことは、今後の研究に生かしうる貴重な成果の一つであった。(3)口頭発表としては、経済史研究会第三回研究大会(京都大学)において、「ドイツ農村・都市関係史研究に向けて-世襲財産から都市近郊農村へ-」と題する研究報告を行った。 そこで、平成十一年度の研究計画であるが、今のところ、以下の二点を予定している。(1)「ドイツ農村・都市関係史とりわけ都市近郊農村史」に関する実証の厚味をまし加えて、当該の研究を本格化させるために、ポツダム文書館BrandenburgischesLandeshauptarchivを中心とした調査による未公刊一次史料の発掘・収集とその利用化を図る。(2)該研究のさしあたっての到達点を示す中間報告として、本年十月開催の土地制度史学会の自由論題報告で口頭発表できるよう、その準備にいそしむ。以上である。
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