当該の課題に関する平成12年度の研究実績は、およそ以下のとおりである。(1)図書整備については、都市農村連続体、とりわけ、ベルリン・テルトウ郡に着目したプロイセン都市近郊農村史関連の重要文献を、可能な限り重点的に収集する数年来の系統的作業を本年も継続した。(2)図書館調査は、フランクフルト・ゲーテ大学付属図書館とベルリンの国立図書館を中心に実行し、さらに、フランクフルト・ゲーテ大学のヨアヒム・ヘニング博士ならびにベルリン・フンボルト大学のローター・バール教授から、本研究遂行のために必要な集中的レビューを受けた。その際、ドイツ都市・農村史研究、なかんずく、いわゆるペンドラーの歴史的実態に関するKノーアクやCh.グラーベ、さらには、D.ランゲヴィーシェらの必読文献の所在について貴重な教示を得た。(3)研究報告としては、同年6月京都大学で開催された「ドイツ資本主義研究会」において、「プロイセン都市近郊農村史とベルリン-ブランデンブルク・テルトウ郡の実態に即して-」と題する口頭発表を行って批判を仰いだ。(4)さらに、当該の報告を基礎にして、「プロイセン都市近郊農村史とベルリン-テルトウ郡の鉄道建設と世襲財産所領-」をタイトルとする論文をまとめ、これを「土地制度史学」に投稿し、編集委員会の審査を経て、同誌への掲載が決定された。 そこで、平成13年度の研究計画としては、さしあたり、次のことを必須の課題としたい。すなわち、本年5月開催予定の「土地制度史学会中四国部会研究会」で、「プロイセン史におけるゲマインデ自由とその意義-テルトウ郡の都市近郊農村の実態に即して-」と題する報告を行って、同タイトルの論考をまとめることが、それである。
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