当該の課題に関する平成13年度の研究実績は、およそ以下のとおりである。(1)図書整備については、ドイツ=プロイセン都市近郊農村史関連の重要文献を、ベルリン・テルトウ郡に着目しつつ、可能なかぎり重点的に収集するここ数年来の系統的作業を本年も継続した。(2)図書館調査は、ベルリン国立図書館を中心に実行し、さらに、ベルリン・フンボルト大学のローター・バール教授とフォルカー・クレム教授から、本研究遂行のために必要な集中的レビューを受けた。その際、都市化の進展とともに本格化する「給付行政」の意義について貴重な教示を得、P.シェラーやW.R.クラッベ、そして、H.H.ブロテフォーゲルらの基礎文献を収集・読了できたことが、大きな収穫の一つであった。(3)研究報告としては、同年5月岡山大学で開催された「土地制度史学会中四国部会研究会」において、「ベルリン圏の都市化と近郊農村の地方自治-19世紀末期テルトウ郡の実態に即して-」と題する口頭発表を行って批判を仰いだ。(4)さらに、当該の報告を基礎にして、「ベルリン圏の都市化と近郊ゲマインデの自治-19世紀末〜20世紀初頭期テルトウ郡の実態に即して-」をタイトルとする論文をまとめ、これを「社会経済史学」に投稿し、編集委員会の審査を経て、同誌への掲載が決定された。 そこで、今後の研究計画であるが、2年間の科学研究費補助金を得て万遺漏なきを期したうえで、平成15年度の研究成果公開促進費の助成を申請し、約350ページの一書『都市史と農村史のあいだ-ドイツ都市近郊農村史論序説-』(仮題)を平成16年度に出版して、本研究のまとめを行う予定である。
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