研究概要 |
第1年目であるので、内外の基本文献(Pechman、 Ott&Ott,Munnell,Sunley, Reichley,etc.)や主要学術雑誌のサーベイを行うとともに、大統領経済報告書・予算書・財務長官年次報告書・連邦準備理事会年次報告書・社会保障庁月報等の行政サイドの資料や、連邦議会の上下両院の財政・税制・社会保障・社会福祉・軍事関係の委員会資料や、議会予算局の資料を収集・整理した。 また上記の資料の中から統計関係のものを抽出し、デジタル化するとともに、ニクソン財政の歴史的な位置づけと特徴を検出するための、統計的作業を開始した。 以上の作業から、ニクソン財政は、アメリカ型福祉国家システムの特徴を際だたせる面を多く有しており、したがって、1960年代末から1970年代前半のニクソン財政の研究が、アメリカ財政の特質を明らかにするためにきわめて有用であることがわかった。特に「戦後パクス・アメリカーナの基軸国として軍事費」と「民間福祉を重視するアメリカ的な福祉国家システム」と「それら2つの機能を賄うための税制」の関連について、アメリカ民主主義の中でいかに折り合いが付けられたのか、という研究視角の有効性が確認された。 このような成果を、1998年10月の財政学会で報告し、その要旨は、日本財政学会のJIPF Bulletin No.55に掲載された。 また来年度のアメリカ人研究者との交流に備えて、Discusssion Paper (Pax-Americana and the Japanese Welfare State)も執筆した。
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