本研究では『貨幣・金融制度と経済発展』の問題を理論的かつ歴史的に分析することである。本年度の研究内容は次のとおりである。 (1)前年度から継続して研究してきた「中小企業と金融」を論文にまとめ、国民生活金融公庫総合研究所調査季報(第55号、2000年11月)に掲載し、また12月には金融構造研究会において発表した。 (2)本年度は、これまでの研究を専門書『貨幣金融制度と経済発展』(有斐閣、2001年刊行予定)にまとめる作業を行っている。そのためこれまでの研究論文を整理するとともに加筆修正を行った。さらに加える章として、これまでの研究をベースにしながら新たに以下の論文をまとめている。 「経済と政治制度」:政治制度におけるさまざまなプリンシパル・エイジェント問題に注目し、経済制度と政治制度の相互依存関係を分析する。 「経済制度の成立と変化」:制度の成立および発展過程に対するゲーム論的分析や新制度学派的な分析を整理する。 「貨幣金融制度と経済活動」:貨幣制度がどのように選ばれるか、金融制度がどのような役割を果たすか、などの問題を情報の不完全性や取引費用に関連させて検討する。さらに「取引費用と家計行動」についての章をまとめている。
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