研究概要 |
最近,地方財政においても地方債の発光が急増している。地方財政の歳入の中で地方債の歳入の中で地方債収入が占める割合は,平成元年度7.5%,2年度7.8%,3年度8.5%と,バブルの頃は10%を下回っていた。しかし平成4年度11.2%,5年度14.0%,6年度14.9%,7年度16.8%と,バブル崩壊後は急増している。これは日本経済が不況に落ちこむにつれ,地方税収の伸びがとまり,その補填のために,地方債が増発されたことによる。いま平成7年度n府県税収入が平成2年度の府県税収入に比べてどれだけ伸びたかをみると,大都市圏では,東京都0.85倍,鳥取県0.84倍,大阪府0.74倍といずれも減少している。これに対し地方では,青森県1.20倍,鳥取県1.12倍,高知県1.07倍とわずかではあるが増加している。このことから予想されるように,地方債の発行は大都市圏で大きく増加している。いま,平成7年度の地方債発行額が平成2年度の地方債発行額の何倍になっているかをみると,東京都6.2倍,神奈川県5.5倍,大阪府7.0倍となっているのに対し,地方では青森県2.0倍,鳥取県1.8倍,高知県1.9倍と大略2倍の水準でおさまっている。なお景気対策としての公共投資の伸びを普通建設事業費の平成2年度から平成7年度にかけての伸びをみると,東京都1.1倍,神奈川県1.3倍,大阪府1.7倍(平成8年に国体が開催された),青森県1.6倍,鳥取県1.6倍,高知県1.5倍と,やや地方県の値が大きいものの,その差はそれほど大きなものではない。こうして最近の地方債の増加は大都市圏における地方税収の減少によってもたらされているとみることができるのであるが,税収が減っている団体が多額の借入ができるのは,地方債の許可制度により,地方債の元利償還が国の財政によって保障されいてるからではないだろうか。
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