現在日本企業は低成長経済時代に適合した企業体質へ構造転換することが求められている。その中で有力な方策の一つは、原材料調達から、生産、流通、販売までをサプライチェーンとみなし、あらゆる段階の在庫を減らし、全体を同期化することによって、消費者ニーズに即応していく体制を築くことであろう。ところが、このシステムが普及していく段階で、物流が小口化、多頻度化し、貨物車交通量が増加したため、交通渋滞、交通公害が激化するという外部不経済が発生した。 そこで本研究では、欧州各国での環境政策をめぐる議論をレビュウすることを通じて、物流システムの社会経済効果を総合的に評価する枠組(効率性評価枠組)と、主体別の影響を評価する枠組(公平性評価枠組)構築する。次に、考えられる施策とその効果を記した複数のシナリオを作成し、効果の将来予測と重要度を尋ねるインタビュー調査を実施し、今後必要であり、かつ受容される物流施策を明らかにした。 平成10年度は重点的に文献サーベイを行うとともに、国際的な物流統計資料を駆使し、国際比較を行った。また、先進事例に関しヒアリング調査を行った。 平成11年度は10年度に引き続きヒアリング調査を実施するとともに、物流システムの効率性評価枠組、公平性評価枠組を構築し、望ましい物流施策のあり方に関しシナリオを作成し、主要当事者である行政(運輸、交通インフラ各担当)、物流業者、生産者、卸・小売業者などに、効果の予測と重要度を尋ねるインタビュー調査を実施し、今後必要であり、かつ受容される物流施策を明らかにした。
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