今年度は、日本企業の関連する国際的企業買収、合併、合弁、全額出資の効果についての実証的、理論的研究のなかで、日本からのタイ国への直接投資としての子会社の経営成果の決定要因として、企業固有の優位性や進出形態を分析している。タイヘ進出している日本企業の子会社190社について、タイのミリオンバーツ経営情報のデータ及び東洋経済新報社の1995年のデータにより分析している。進出形態としては、半数所有が過半数所有、少数所有、全額出資による投資に比較して収益率が高いことがANOVAにより導かれた。重回帰分析では、親会社の規模は子会社の収益性にたいして負の効果、資本回転率や子会社の数、子会社の営業年数は有意に正の効果があることが指摘できた。 第2に、東洋経済新報社の海外進出企業総覧のデータを1995-97年に渡り99社、102社、102社について利用し分析している。産業間の格差は見られなく、研究開発の程度、経営ノウハウの代理変数としての効率性、子会社での経験年数の合計値、子会社の営業年数は経営成果と有意な正の関係があることがわかった。しかしながら、親会社の規模や海外製造子会社の数は経営成果に負の効果があり、国際投資が過剰になっ ていると思われる。この研究の拡張として、親会社が複数国籍である場合や単独の親会社が複数のホスト国へ進出している場合の研究は今後必要である。
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