本年度は、備品購入(PC)、国外での研究のレビュー、2度の実態調査を実施した。 本研究は、現在、日本情報技術企業が直面している国際的な競争環境を分析し、かつそこで日本情報技術企業がどのような戦略を展開しているかを明確にすることを課題としている。本年度の研究活動でも画期的な変革を確認しえたが、具体的な項目は、以下の通りである。 1. 日本情報技術企業は歴史的な転換点に直面している。 1999年3月、主要な日本情報技術企業がことごとく赤字決算に陥りつつあり、そのために抜本的なリストラクチャリングを余儀なくされている。 2. 現地市場を指向した海外生産が、特にアジアの低迷に直面し、大きな軌道修正を迫られている。 通貨の下落から輸出が有利になっている地域もあるが、全般的に、操業率を大幅に低下している。また、国際的戦略提携の解消さえ生じている。 3. 価格の下落とアメリカによる国際標準の支配が、一層進行している。 低価格と国際標準との両方への厳しい国際的な対応を迫られている。 4. 総合的な経営ではなく、重点事業に焦点を絞り、別会社化することが顕在化している。 5. 多数の人員削減が進められ、3年間で3割の従業員を縮小している会社さえ出現している。 6. 厳しい環境の下で設備投資、研究開発費が削減されており、将来が危惧される。 7. 多くの情報技術企業において情報家電化が指向されている。
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