企業倫理に関する研究、教育、ならびに経営実践の三領域にわたる体系的取組みにおいて世界各国のうちで明らかに先行するアメリカ合衆国における、特に研究ならびに教育の歴史的展開とその到達点としての現在の状況を明らかにすることを課題として、3か年にわたり実施する研究計画の第1年度に当たる本年度にあっては、主として企業倫理に関する研究の歴史ならびに現状に関する文献・資料の収集・整理・内容分析を重点として、研究活動を展開した。もとより、文献・資料の収集はその達成可能性ならびに達成時期に関して不確実性が高いため、本年度の研究に必要とする資料の入手が年度内に実現できず、一方において、次年度研究の重点対象に関連する資料の入手を本年度において実施せねば機会を失しかねないといった、計画と実績との乖離も少なからず発生せざるをえなかったが、概ねアメリカにおける企業倫理に関する研究の歴史的経過と、最近における最先端の状況を把握し、特にそこでの研究主題の変遷、ならびにそれに対応する研究方法の変化および発展の実態を明らかにすることに有用な文献・資料を入手し、それらの内容の検討に着手することが可能となった。ただし、それらに関する日本での研究はいまだほとんどなされておらず、既存の研究成果がきわめて乏しいため、本年度における研究成果をそれ自身として論稿に集約し、公表しうる段階にまでは、なお到達しえていない。明年度以降に期することとしたい。
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