現在、世界の先進都市の都市交通政策は大転換をし、自動車交通量を抑制して交通全体を合理的にコントロールする方向に向かっているが、日本の各都市でも順次採用されつつある。 今年度の調査で、日本の市町村で交通需要マネジメント(TDM)政策として採用されたり、社会実験がされたり、あるいは検討されるべきとあげられた施策としては、次のものが主であった。 (1) トリップ(trip)そのものを減らす施策ーー例)自宅勤務/サテライト勤務/SOHO (2) トリップ(trip)の時間分布を変えるーー例)時差出勤/混雑料金の徴収=ロード・プライシング (3) 自動車からの転移ーー例)公共交通手段のサービス向上等により/歩行者道路や自転車専用道路整備により (4) 混雑料金の徴収(混雑時・混雑箇所の道路利用の料金賦課=ロード・プライシング)によりマイカーの抑制 (5) 自動車の流入規制ーー例)パーク・アンド・ライド(P&R)/トランジット・モール/歩行者優先の道路づくり(ボンエルフ等)/トラフィック・カーミング 今年度は各種文献調査以外に、TDMに意欲的に取り組んでいる、あるいは、今から取り組もうとしている市町村をいくつかえらんで、現地実態調査を行なった。そこでの取り組みの経緯、問題点や課題等を明らかにし、教訓化の作業をおこなった。 来年度は、中心市街地の活性化で、交通をどうしようとしているのかを、TDM政策との関連で調査していきたい。海外の諸都市交通の調査も日本のTDMの導入方向を評価する上で必要となろう。
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