「比較制度分析」アプローチにより、外部労働市場オプション(留保効用)水準を媒介とする業績管理会計システムと企業の雇用システム(雇用契約期間・報酬形態・人的資源配分)間の制度的補完性の国際的な多様性を明らかにするために、それらの間の次のような制度的補完性を理論的に明らかにした。 1. 分権化組織の内部コーディネーション・システム(情報分散型システム、情報共有型システム)と技能(一般的技能、企業特異的技能)形成、雇用契約期間・外部労働市場オプションの戦略的補完性に基づき、それらと業績管理会計システムにおける業績測定期間(期間独立評価・多段階評価)についての制度的補完性の多様性を明らかにした。 2. 内部コーディネーション・システム、技能形成と雇用契約期間・外部労働市場オプションの上記の戦略的補完性に基づき、成員の行動の観察可能性の違いによるそれらと業績管理会計システムにおける業績尺度(環境状態別成果情報、成果情報)との制度的補完性の多様性を明らかにした。 3. 離散的エージェンシー・モデルを用い、各業績管理会計システムと対応する各報酬スケジュールのもとでの成員の報酬を定式化し、各報酬スケジュールの残余成果の大小関係および内部コーディネーション・システム、技能形成と雇用契約期間・害労働市場オプションと賃金プロファイルの関係の多様性を明らかにした。
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