本研究の実施課題はつぎの3点である。 課題(1):GC監査が実施されている諸外国での実務を参照し、ゴーイング・コンサーンとしての企業の存続が危ぶまれた事例において会計監査上どのような対処がなされたのかについて帰納的に探求するというケース・スタディの実施による、監査人の具体的・包括的な判断規準・指標の解明 課題(2):この判断規準・指標を、理論的な研究成果とあわせることによって、監査人のGC監査における判断モデルの新たな構築 課題(3):当該判断モデルを、わが国の東京証券取引所第一部上場会社が事実上倒産したケースに応用し、わが国でのGC監査の実施の可能性の探求 本年度は、上記課題(2)について、従前の本研究の実施を通じて得られた判断規準・指標を総合化し、GC監査における監査人の判断形成モデルを完結させ、現在、当該モデルの内容を英訳し、わが国はもとより、アメリカあるいはヨーロッパにおいて研究成果の公表を行い、国内外の研究者との意見交換を通じて、当該モデルの改善を図る作業を行っている段階にある。 また、上記の課題(3)について、わが国の倒産企業にかかる財務データおよび非財務データを収集し、上記の監査人の判断形成モデルへの変数データとして組み込めるようにデータの整理、加工、および分析を行う準備作業を課題(2)に並行して行っているところである。
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