研究概要 |
道路,河川,上下水道等のインフラ資産は,公共事業で整備される主たる資産であるが,21世紀における本格的な更新受容に対応した適切な管理と効率的整備が求められている。このためには資産価値の適性な測定と計画的な管理が重要でストック面を含めた会計システムの確立が急務である。そこでストック管理を会計と予算システムを統合化して実施する改革をしている英国とニュージーランドの実態の解明と分析を行った。 まず,資産評価については,基本的なサービス供給が必要なインフラについては,更新に要する価額を算定し,残存耐用年数に見合う価値をもって貸借対象表価額としている。しかしながら,土地の評価については区々であり,また,ネットワークとしての効用を発揮するものについては,更新価額ではなく取得価額で計上する実務も英国自治体では採用されている。 次に,減価償却については,インフラ資産について通常の固定資産と区分しない考え方はニュージーランドであるが,英国ではアモーチゼーションや減耗相当分の積立金経理を採用しているのも見受けられる。また,耐用年数はニュージーランドでも自治体間で種々の数値が用いられており,自治体間のコスト比較の点では問題点といえる。 また,キャピタルチャージは,インフラ資産の使用コストを管理者に認識させるものであるが,英国及びニュージーランドでの実務は幾分異なっている。英国は名目的チャージであり支出ベースで予算に反映されないのに対し,ニュージーランドは実質的に賦課される。ただし,ニュージーランドでも自治体ではキャピタルチャージを課していないものもあり,経済的な機会費用を算定して公正な競争を促す意図は充分とはいえない。
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