本プロジェクトの主要課題は、次の4点であった。 1)日米のグローバル企業の経営環境とマネジメント・コントロールの特徴を、親企業サイドから実証的に明らかにすること。 2)わか国グローバル企業(製造企業)の経営活動と管理会計の国際移転の特徴を、現地適用と現地適応という視点から、その特徴を明らかにすること。 3)わか国グローバル企業のアメリカ社会、経済への現地適用と現地適応のプロセスに則して、製造企業と販売企業(商企業)との間に、どのような共通性と個別性かあるのか、比較研究すること。 4)在米日系企業の経営活動と管理会計活動における現地適用と現地適応のプロセスの面接調査(ケース・スタディ)により、在米日系企業の幾つかのタイプを析出すること。 その結果、以下のような発見事項を得ることができた。 1)日米企業の海外統括本社組織、地域統括会社、経営職能のローカル化などの経営環境の特徴明らかにできた。また日米企業の管理会計活動については、月次報告制度、国際振替価格、海外子会社の業績評価、予算管理、資金調達などについて、日米企業の特徴が明らかになった。 2)在米日系製造企業を、研究開発型と製造販売型に分類し、経営環境と経営活動、原価管理実践、管理会計実践の特徴を比較考察すると共に、在米日系製造企業全体としての特徴も明らかになった。 3)日本企業は、製造中心(manufacture-oriented)の経営システム、管理会計システムであるとい特徴がみられるが、それを在米日系商企業と製造企業にどのようにあらわれているか、在米日系企業全体(商企業、製造企業)のそれぞれの類似点と相違点(特徴)を解明することができた。 4)面接調査を行った在米日系企業を、その特徴から幾つかのタイプに分類し、理念型(ideal types)を抽出(構築)する研究は、現在も継続中であり、纏まり次第論文として公表する予定である。
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