本年度は、とくにつぎの3点に関して一定の研究実績をあげたと思われる。 第1に、年金制度のうち確定給付と確定拠出のハイブリッド型制度の会計問題について米国企業のケースを基礎として総括的に検討した点である。 第2に、わが国の退職給付の会計基準のグローバル・スタンダード化の意味について、とくに退職給付の会計基準がわが国の会計(制度)におよぼすインパクトについて検討した点である。そこでは、とくに負債の評価とディスクロージャー問題について分析している。 第3に、企業年金をめぐるコーポレート・ガバナンス・ディスクロージャー問題について、フィデュシャリー責任をキーコンセプトとして分析している点である。 その他、本研究テーマの分析概念ともいえる「見なし債務」概念について国際会計基準19号「従業員給付」を対象として詳細な検討を実施した点についても、触れておかなければならない。
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