研究概要 |
Lを整数係数2元3次形式全体のなす格子,L^^<^>をその双対格子とする.3次体の分布は,2元3次形式のなす概均質ベクトル空間と密接に関係し,そのゼータ関数ξ_i(L,s)はKが3次体全体をわたるときの|D_K|^<-s>ηK(2s)の和として表せる.ここで,ηK(s)=ζ(2s)ζ(3s-1)(ζ_K(s))/(ζ_K(2s))である.この表示と類体論を用いることによって,大野の予想「ξ_1(L^^<^>,s)=3^<-3s>ξ_2(L,s),ξ_2(L^^<^>,s)=3^<1-3s>ξ_1(L,s)」を肯定的に解決した.この結果の応用として,正の判別式を持つ3次体の個数と負の判別式を持つ3次体の個数の間の関係式と,2次体の整環のイデアル類群の3-torsin部分群の階数に関するSholzの定理の精密化が得られる.これらの結果はInvent.math.に発表するとともに,国際数学者会議ICM98において講演した. また,4次体の判別式の分布ならびに3次体のイデアル類群の2-torsion部分群の階数の分布と密接に関係すると思われている概均質ベクトル空間である3元2次形式のペアのなす概均質ベクトル空間について,3次体の2次拡大との関連を中心に研究中である.特に,2元2次形式の狭義同値類の集合と2次体の狭義イデアル類群の間に1対1対応があるという古典的事実の類似として,3元2次形式のペアの同値類の集合と3次体のイデアル類群の2-torsion部分群の間の1対1対応についてある程度の成果が得られた.これについては,津田塾大学整数論シンポジウムにおいて講演した.
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