研究課題/領域番号 |
10640019
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
林 孝宏 名古屋大学, 大学院・多元数理科学研究科, 助教授 (60208618)
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研究分担者 |
太田 啓史 名古屋大学, 大学院・多元数理科学研究科, 助教授 (50223839)
岡田 聡一 名古屋大学, 大学院・多元数理科学研究科, 助教授 (20224016)
中西 知樹 名古屋大学, 大学院・多元数理科学研究科, 助教授 (80227842)
土屋 昭博 名古屋大学, 大学院・多元数理科学研究科, 教授 (90022673)
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キーワード | 量子群 / 位相的場の量子論 / テンソル圏 / 淡中双対性 |
研究概要 |
本年度の最大の収穫は双代数の一般化である面代数という代数系と有限半単純なテンソル圏との間の対応関係である「標準淡中双対性」を完全に定式化し、証明することができたことである。これにより、これまで種々の方法で構成されていたテンソル圏に対して面代数の表現論という統一的な描像をあたえることができたと考えている。しかし、テンソル圏のブレイド構造など、いくつかの課題をやり残してしまった。次に、カズグンとウェントェルによるテンソル圏の変形の面代数の理論での対応物として、群で次数づけられた面代数から、余ドリンフェルド結合子が自然に定まることを観察した。これを標準淡中双対性とを組み合わせることにより、この研究の当初の目的のひとつである位相的場の量子論の種種の構成法の同値性の証明が可能になるのではないかと期待してるが、対象としている圏の具体的な考察にまでは至らなかった。 そのほかの大きな成果としては、標準淡中双対性をSU(2)の有限次元表現の圏に仮想的に適用し対応する面代数の表現を考察することにより、6j-シンボルをSOS模型のボルツマンウェイトで表示する新しい公式の予想を得ることができたことが挙げられる。ただし、この公式に完全な証明をつけるには、位相的面代数というものを定義し、それと(有限とは限らない)半単純テンソル圏との間の関係として標準淡中双対性を一般化する必要があるが、これは次年度以降の課題として残った。
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