研究概要 |
重さ半整数の場合にニューフォームの理論を構築するという研究目的達成のための計画の一環として,今年度は次の様な研究を行った. 昨年度,奈良女子大学に滞在したHeim博士との共同研究によって,Jacobi形式と重さ半整数の保型形式をどう対応させるべきかという古くからある問題解決のヒントを得た. Jacobi形式には,重さと指数という二つの不変量があり,これによって分類されている.また,Jacobi形式はその二つの不変量に関して全く異なった挙動を示すことが知られている. 一方,筆者の以前の研究により得られているKohnen空間のニューフォーム理論も,レベルという不変量の性質によって2種類の全く異なった挙動を示す事が知られている.このことは筆者が構築したニューフォーム理論がはたして良いものなのかどうかという疑いを生じる原因でもあった. しかしながら,Jacobi形式と重さ半整数の保型形式を対応させる際に,異なる挙動を示すそれぞれの不変量同士を対応させれば,極めてうまい対応関係がつけられる可能性が出てくる. この対応関係を示すのには,Jacobi形式と重さ半整数の保型形式双方のトレース公式を具体的に計算する必要が出てくる. 現在これらの公式の計算を続行中である.
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