研究概要 |
複素アフィン空間C^3の射影的コンパクト化、非射影的Moishezonコンパクト化の構造解明およびGL(2,C)のsmall有限部分群GによるC^2の商空間C^2/Gの最小正規解析的コンパクト化の分類を中心に研究を行い、一応の成果が得られたので、以下、具体的成果について述べる。まず、第2ベッチ数1をもつC^3の射影的コンパクト化は全部で6種類あることはすでに古島によって得られているが、本研究において、これらのコンパクト化(X,Y)がC^3の自然なコンパクト化(P^3、P^2)からどのようにして構成されるか、即ち、XからP^3への双有理写像ρ:X→P^3でX-Y〜^^ρ__=P^3-P^2なるものを具体的に構成することにより示した。これにより、第2ベッチ数1をもつC^3の射影的コンパクト化の構造は完全に解明されたといえる。次に、第2ベッチ数1をもつC^3の非射影的Moishezonコンパクト化(X,Y)について、その指数(index)、即ちK_x=-rYなる自然数rはr>0なる事はこれまで知られていたが、本研究においてはr=1,2である事を非正規代数曲面とその正規化の構造を詳しく調べることにより証明した。実際、r=1,2の場合は(無限に)存在することがすでに古島により得られているので、この結果により、第2ベッチ数1をもつC^3の非射影的Moishezonコンパクト化はある意味でほぼ解明されたといえる。更に、これらの研究において得られた幾つかのテクニックはC^2/Gの最小正規解析的コンパクト化の分類に応用できることが分かり、この分類を分担者の阿部誠、大学院生の山崎充裕等と共同で研究し、その分類に成功した。
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