研究概要 |
まず,一般にR上の次数付有限生成自由加群の斉次部分加群Mのワイエルシュトラス基としては,逆辞書式順序をもとにした,term over position順序で考えたグレブナ基底をうまく取ればよいということが明確になった. 斉次イデアルとねじれのない加群が長いブルバキ列で関係付けられているときに,それらのベーシックシークエンスの関係をquasi-Buchsbaumの場合に完全に明確にしたいというのが目的であった.この目的が終わったずっとあとでやる予定であったものが先になってしまったのだが,次のようなことがわかった. 2以上の自然数rおよび2以上r-2以下の自然数pがあるとする.また体上のr変数の多項式環R上の次数付有限生成自由加群の斉次部分加群Mがあるとする.Mが次の条件(1),(2),(3)を満たすと仮定する. (1) Mの第r-p+1から第r-1までの局所コホモロジーと第1局所コホモロジーが0である (2) 高さがrより小さいqである任意の素イデアルPにたいし,MをPで局所化たものの,RをPで局所化して得られる局所環上のdepthがmin(q-p+1, 3)以上となる. (3) Mの第2局所コホモロジーはR加群として長さ有限である.この時Rの高さpの斉次素イデアルIで,Mと長いブルバキ列で互いに関係付けられるものが存在する.さらに,Iが定める射影的スキームは正規である.これはquasi-Buchsbaumの場合を含んでおり,ともかくも斉次素イデアルの存在がわかるのであるから大きな進展である.
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