研究概要 |
斉次イデアルとねじれのない加群が長いブルバキ列で関係付けられているときに,それらのベーシックシークエンスの関係をquasi-Buchsbaumの場合に完全に明確にしたいというのが目的であった.昨年度の終わり頃から,この目的が終わったずっとあとでやる予定であった問題について解決の糸口が見え始めたので,委細かまわずそれを片付けることに専念し,非常によくまとまった結果として次のようなものを得た.当初のピンポイント的な目的を包含する大きな研究目的に向かうの流れの中では本流を行くものである. 定理1:::2以上の自然数rおよび2以上r-2以下の自然数pがあるとする.また体上のr変換の多項式環R上のねじれのない次数付有限生成加群Mがあるとする.Mが次の条件(1)と(2)を満たすと仮定する. (1)Mの第r-p+1から第r-1までの局所コホモロジーが0である. (2)MはR上の反射的な加群である. この時Rの高さpの斉次素イデアルIで,Mと長いブルバキ列で互いに関係付けられるものが存在する.さらに,逆にそのような斉次素イデアルIが存在すればMは(1)と(2)を満たす. これはねじれのない次数付有限生成加群Mと長いブルバキ列で関係付けられる斉次素イデアルの存在に関しての極めて基本的な結果である.同時に,この定理を証明するにあたって次のような重要な結果も見い出された. 定理2:::R上のねじれのない次数付有限生成加群Mが(1)を満たす時,斉次完全交叉f_1,...,f_{p-2}で次の性質を持つものがある. (3)これらの定めるイデアルでできるRの剰余環をAとおくと,Aは正規環である. (4)A上のねじれのない次数付有限生成加群D及びMからDへのR上の準同型写像で第0から第r-p+1までの局所コホモロジーに同型を引き起こすものが存在する.
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