研究分担者 |
菊政 勲 山口大学, 理学部, 助教授 (70234200)
松本 耕二 名古屋大学, 大学院・多元数理科学研究科, 助教授 (60192754)
谷川 好男 名古屋大学, 大学院・多元数理科学研究科, 助教授 (50109261)
柳原 宏 山口大学, 工学部, 助教授 (30200538)
増本 誠 山口大学, 理学部, 助教授 (50173761)
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研究概要 |
古典的約数問題というのは,約数関数の和の剰余項を研究する分野である.この剰余項は,非常に激しく振動する関数であるため,上からの評価、Ω結果といわれる下からのある意味での評価,またその2乗平均,あるいは高次の平均の挙動が問題になる.たくさんの研究があるが,そのなかでもVoronoiによる剰余項の級数表示や,AtkinsonがVoroni公式をリーマン・ゼータ関数の2乗平均値問題へ応用したことは特に重要なものだと思われる.Voroniの方法は約数関数の生成関数(この場合はζ2(s)である)の解析的性質から剰余項の表示を得る方法であり,いろいろな場合に応用できる.本研究では種々の数論的関数の総和について,剰余項の評価や,二乗平均値問題,Ω結果をあつかった.特に,局所的な挙動を調べるには短区間における平均値定理が有用である.我々は一般化された約数関数σ_a(n)exp(2〓kn/h)やエスターマン・ゼータ関数(リーマン・ゼータ関数を一般化したもの)の平均値の剰余項に関して短区間での平均値定理を得た.これは約数関数やcritical line上におけるJutila氏の結果の類似的なものと考えられる.このことから,剰余項の複雑な挙動の現象をみることが出来る.また,Lindelof予想に関係したJutilaの予想への足掛かり的なアプローチを示すことができた.以上のことから,我々の方法である“短区間での平均値定理"は今後多くの数論的関数に応用される.
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