研究概要 |
当該研究課題に関して、今年度はクンマー曲面のモジュライと密接な関わりを持つ、エルミートテータ関数の研究を行った。主な結果は以下の通りである。 ヤコビのテータ関数θ_<ab>(γ|z)について、ヤコビの微分公式 d/(dz)(θ_<11>(γ|))|【double half arrows】_0=-πθ_<00>(γ|0)θ_<10>(γ|0)θ_<01>(γ|0) は基本的である。この公式は、リーマン、トマエ、フロベニウス等により、高い種数の、即ち、リーマンテータ関数に拡張され、近年においてもその研究は続けられている(ヴェイユ、フェイ、井草)。特に、種数2のテータ関数への拡張は、Rosenhainの微分公式と呼ばれる。種数2のエルミート上半平面をモジュラスとするエルミートテータ関数に対し、Rosenhain微分公式を拡張することが出来た。 この研究で得られた結果は、射影平面の六点のなすモジュライ、それに関連する(3,6)型超幾何関数の理論にいくらかの貢献をなすものである。
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