研究概要 |
99年度の研究内容は大まかに,次の2つの方向にまとめられる.すなわち, (1)平面曲線の特殊因子の分布 (2)Weierstrass pairを応用した符号の構成 である.前者については,すでに昨年度中にその端緒を見出していたものだが,雑誌論文の項に記載したようにJ.Korean Math. Soc. に本研究の分担者のひとりである大渕朗との共著として,本年度発表した.その後の研究で,この論文中の定式化した,正規生成可逆層のもつある性質は別の文脈で応用を持ちうる感触を抱き,現在我々の研究のひとつの焦点になりつつある. 次に,後者の研究内容について若干述べる.代数曲線符号の研究では,従来所謂1点符号が取り扱われ,そのパラメータの評価にはWeierstrass点の理論が用いられていた.2点符号を取り扱おうとすれば,それに相当する理論が必要であるが,幸いにも,海外共同研究者であるSeon Jeong Kimと筆者はかつてこの理論に興味を持ちArch.Math.に論文を著わしていた.この理論をさらに推し進め2点符号に応用することがこの内容である,パラメータの理論的評価は完成したものの,その評価が有効な広い範囲の符号族を見出すには,残念ながら,至っていない.また,この研究は昨年度本科学研究費の部分を,その費用の一部として分担者のひとりである加藤崇雄と共催した代数曲線論国際会議,特に講演者のひとりであるR.Laxから大きな示唆を受けたことを明記しておきたい.
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