任意の無限アーベル群で、Almost-DenseであるT高部分群が存在するとき、その群をAlmost-Dense拡大群(以下、ADE群と記す)という。このような群の構造定理、存在定理、分類定理を求めることが当面の研究の大目標です。この群の最も単純な例は、L.Fuch著「Infinite Abelian Groups 1973」Vol. 2. p186に例2として記載されています。この研究の動機はこの例です。 本期間の目標は、Torsion-Free Rank1ADE群Gに構造定理・存在定理・分類定理を与えることでした。まずGの各pパートに「巡回群」という条件を付けて目標を達成しました。次のそのpパートに「巡回群の直和」という条件を与えました。これが初等ADE群です。これは準純枠包をもつ部分群の概念を導入し、標準ADE群というものを定義して、その目標を達成しました。 そこで、p群には基部分群がありますが、この概念を一般の無限アーベル群に拡張できることに気付きました。まず任意の無限アーベル群には基部分群が存在することを証明しました。ADE群Gの基部分群Lは初等ADE群になります。p群には、「すべての基部分群は同型である」というよく知られた定理がありますが、このADE群Gでも、やはりすべての基部分群は同型になることも証明しました。 結局、Torsion-Free Rank1のADE群の構造は、その基部分群と各素数に対してQT行列が定義でき、構造定理を達成し、また、Torsion群T、Torsion-Free Rank1のA群と、各素数に対して、ある条件をもつ2行加算列の行列を与えると、群Tが最大ねじれ群となり、群Aがmoho部分群となり、その行列をQT行列にもつADE群が存在するという、存在定理を達成しました。 しかもG/LはTorsion加除群となるので、準基の概念を使ってADE群の分類定理を完成させました。従って、Torsion-Free Rank1のADE群に関しては、構造定理・存在定理、分類定理は完成しました。
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