研究概要 |
多くの研究成果が上げられたが,紙面の都合上,研究代表者の関わった成果を中心に述べる. 無限次元トポロジーにおける研究対象の一つに巾空間があるが,これまで,コンパクト部分集合からなる巾空間やその部分空間に注意が集中し,巾空間の位相もVietoris位相に限られていた.研究代表者は,今年度,T.Banakh,栗原,Z.Yangとの共同研究により,コンパクトでない空間の閉集合からなる巾空間に関して,いくつかの結果が得られたが,以下はその主な結果である. (1)無限次元Banach空間の空でない閉集合からなるAttouch-Wets位相を持つ巾空間は,可分でないHilbert空間に同相になる. (2)Xの閉集合からなるFell位相を持つ巾空間がHilbert cubeに同相になるための必要十分条件は,Xが局所コンパクト,局所連結,可分距離空間で,コンパクトな連結成分を持たないことである. また,S.Ageevとの共同研究により,Hilbert空間やHilbert多様体の特徴付けにおける重要な要素として,weightが同じ完備距離空間に対してstrong universalであるという性質がある.可分の場合,この性質はdiscrete approximation propertyという性質と同値になることが知られていたが,可分でない場合にも同値になることを明かにした.更に,研究分担者の矢ケ崎はコンパクトでない曲面の同相写像群の位相型を決定し,川村はMenger多様体のLusternik-Schnirelmann型不変量を与えるなど,いくつかの良い成果を上げ,他の分担者たちも関連するそれぞれの研究において,良い成果を上げることができた.
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