代数曲線(Riemann面)の退化族から、ある種の方法で定義される2次元特異点をKodaira特異点といいますが、本研究の目的は、Kodaira特異点を含む、より広い2次元特異点の族(quai-Kodaira特異点)を定義し、その性質を調べることにあります。当初の一番目の目標"基本種数(基本サイクルの算術種数)の計算"について、出発点となる退化族から何回、どのように二次変換を繰り返したかの算術的な情報から決定できることを証明しました。2番目の目標"幾何種数の計算"については、楕円型の場合に、基本種数と同様に二次変換の行い方からの情報から決定できることが証明でき、これはKarrasがKodaira特異点について示した結果の一般化になっています。一般の場合は現在考察中ですが、かなりの制限をつけないと難しいと考えております。3番目の目標である"Gorenstein特異点となる判定法を求める"については、楕円型の時にうまい判定法が得られました。現在、主として行っていますのが、4番目の目標とした"超曲面特異点のとき、Quasi-Kodaira特異点となる条件を求める"です。また、このテーマと平行して、"Quasi-Kodairaな超曲面特異点としてどのようなものがあるか?"ということを研究しております。これについては、1970-80年代のLauferやYauなどの分類表にある特異点のmaximal ideal cycleを計算し、またweighted dual graphを眺めることで、種々の候補となる定義式の族がリストアップされてきており、これらが実際にquai-Kodaira特異点となることを示すのが、現在の行っている作業です。以上が、昨年4月より現在までの研究の進捗状況です。
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