研究概要 |
(1) quasi-Kodaira特異点の定義を与え、それを特徴づけるいくつかの必要十分条件を証明した。 (2) Z^n=f(x,y)なる定義式を持つ超曲面特異点について、それがquasi-Kokdaira特異点となる十分条件を与え、これに付随して決まる代数曲線の退化族の特異ファイバーがいつmultipleになるか、non-multipleになるかの条件を、極大イデアルサイクルと基本サイクルの比較を行うことで与えた。 (3) 3年ほど前の研究で、「Z^n=f(x,y)なる定義式を持つ超曲面特異点に関し、f(x,y)により決まるある自然数Nがあり、n≧Nなる任意のnのついて、この特異点はKodairaとなる。」を証明したが、本研究ではこれを、「任意の2次元正規特異点(X,x)上に、ある条件を満たす正則関数fを与え、f=0なる因子上で分岐するn-次有限巡回被覆として決まる特異点(Y,y)を考えると、nを十分大にすると(Y,y)は常にKodaira特異点になる。」という形の定理に拡張した。 (4) 2次元正規特異点(X,x)とそれ上の正則関数fを与えた時、1-パラメターの代数曲線の退化族g:S→Dで、Sがその特異点の解消空間yを含み、y上にgを制限したものが、fの引き上げに一致するよう なものが常に存在することを証明した。 この事実を用いて、2次元正規特異点と代数曲線の退化族との差を測る量として、Pencil種数なる不変量を定義した。 これによりある条件下で、quasi-Kodaira特異点は、基本種数とPencil種数が一致する特異点として、特徴づけられる。 (5) 楕円形Kodaira特異点において、U.Karras やJ.Stevensなどにより得られていた、幾何種数に関する公式を、quasi-Kodaira特異点の場合に拡張した。
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