研究課題/領域番号 |
10640071
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
吉川 謙一 名古屋大学, 大学院・多元数理科学研究科, 助手 (20242810)
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研究分担者 |
金銅 誠之 名古屋大学, 大学院・多元数理科学研究科, 助教授 (50186847)
向井 茂 名古屋大学, 大学院・多元数理科学研究科, 教授 (80115641)
浪川 幸彦 名古屋大学, 大学院・多元数理科学研究科, 教授 (20022676)
小林 亮一 名古屋大学, 大学院・多元数理科学研究科, 教授 (20162034)
大沢 健夫 名古屋大学, 大学院・多元数理科学研究科, 教授 (30115802)
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キーワード | モジュライ空間 / 解析的トーション / Borcherds Φ-関数 / 2-elementary K3 曲面 / Generalized Kac-Moody 代数 / 複素双曲型空間 |
研究概要 |
反シンプレクティク対合を持つ代数的K3曲面の解析的トーションをモジュライ空間上の関数として考察し、その結果、R.Borcherdsが表現論的手法で構成した特別な保型関数を微分幾何学的に構成することに成功した。 具体的には,以下の通りである. エンリケス曲面のモジュライ空間上にBorcherdsはある種のfake Monster超代数の分母関数を考察することにより、判別式軌跡を特徴付ける保型関数(Borcherds Φ-関数)を構成したが、Harvey-MooreはΦ-関数がエンリケス曲面の解析的トーションで与えられることを物理的観察により主張した。エンリケス曲面を反シンプレクティク対合を持つ代数的K3曲面と同一視することにより、より一般の格子(2-elementary格子)偏極K3曲面に対して同様の問題を考察することができる。2-elementary K3曲面の解析的トーションの一般的な研究により(エンリケス曲面は2-elementay K3曲面の特別な場合と同一視される)、Harvey-Mooreの主張に数学的証明を与え、その応用として多くの2-elementary双曲型格子に対して、無限積展開を持つ保型関数を構成した。このようにして構成された保型関数は現在の所、すべてGeneralized Kac-Moody超代数の分母関数として書けている。特に、Gritsenko-NikulinのMirror予想がこれらの格子について証明された。代数的にはこれらの保型関数は判別式軌跡を特徴付けており、系としてモジュライ空間の準アファイン性を多くの2-elementary格子に対して得た。 位数3の巡回群がシンプレクティク形式に忠実に作用するK3曲面(3-elementary K3曲面)のモジュライ空間を調べ、それが複素双曲型空間の算術商で記述できることを示した。
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