研究分担者 |
向井 茂 名古屋大学, 大学院・多元数理科学研究科, 教授 (80115641)
梅村 浩 名古屋大学, 大学院・多元数理科学研究科, 教授 (40022678)
佐藤 肇 名古屋大学, 大学院・多元数理科学研究科, 教授 (30011612)
吉川 謙一 東京大学, 大学院・数理科学研究科, 助教授 (20242810)
小林 亮一 名古屋大学, 大学院・多元数理科学研究科, 教授 (20162034)
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研究概要 |
代数多様体のモジュライ空間として現れる複素多様体を一意化することを考え,その様子をexplicitに記述することを目標とした.複素軌道体が与えられたとき、それを一意化する(多価な)写像を考えることができるが、それらは一般に微分方程式のことばで記述されるべきものである。具体的には4次元複素射影空間P^4上のホロックス-マンフォードベクトル束に付随した2次元アーベル多様体(切断の零点として表われる.偏極のタイプが(1,5)のアーベル多様体になっている)のモジュライ空間A_5を対象とした.それは向井と梅村がすでに示したようにSL(2,C)の作用による軌道の同変コンパクト化として表れる3次元ファノ多様体U_<22>と双有理同値である.もっとくわしく,つぎのようなことが示せる.すなわちG_5⊂PGL(2)を正二十面体群とし,PGL(2)の射影空間への自然な埋めこみPGL(2)⊂P^3を考える.3次元複素射影空間P^3上の60点(それらはG_5軌道である.)をブローアップさせた空間P^^-^3をG_5×G_5で割った商空間がA_5の佐武コンパクト化の特異点解消と同型になることがわかった.この軌道体の普遍被覆空間のにはいる複素共形構造を手懸かりにしてA_5を一意化する関数がみたす微分方程式系はすでに計算されている.(被服の分岐因子に沿った特異性の解析による.)しかしこの微分方程式の解の解析的な性質の研究(解の積分表示など)はこれからの課題である.その他の偏極のタイプのアーベル曲面のモジュライ対してもほぼおなじ記述が可能である.
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