研究概要 |
本年度の研究では、前年度までに得られた、球面束のトランスファー写像に関する種々の結果を整理し、その活用を計った。具体的には、次のような研究成果を納めた。 1.球面束のトランスファー写像のコファイバーをThom空間として表現し、それによって、トランスファー写像のe-不変量が計算できるようにした。その応用として、一般化されたS^1-トランスファー写像のe-不変量を計算し、これまでに得られたトランスファー写像のe-不変量の結果を拡張した。結果は次の論文中に示す。 M.Imaoka and K.Knapp:Transfer maps of the sphere bundles, J.Math.Soc.Japan,52(2000),in print. 2.トランスファー写像を応用して、球面の安定ホモトピー要素が枠付きの超曲面で代表される場合の考察を行った。その結果として、18次元の位数8の要素ν^*は、ある種のトランスファー二重写像の像であり、従って、枠付きの超曲面で代表されることが分かった。今後、結果を更に拡張したいと考えている。 3.1に関連して、どのようなときベクトル束が直線束の和に安定分解するかを考察した。それは、そのような場合に、トランスファー写像のe-不変量の計算が、組み合わせ的数論の性質に関係することが分かったからである。この成果の一部は、次の論文で発表した。 M.Imaoka and K.Kuwana:Stably extendible vector bundles over the quaternionic projective spaces,Hiroshima Math.J.29(1999),273-279.
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