研究概要 |
1. 4次元超対称ゲージ理論の双対性に関する研究として,円周上にコンパクト化した5次元超対称ゲージ理論から得られる4次元有効理論を解析した。理論の双対性を反映しているSeiberg-Witten曲線上の周期積分に対するPicard-Fuchs方程式の級数解を求め,この級数解から有効理論を決定するプレ・ポテンシャルを計算した。さらに,円周の半径Rがゼロの極限と無限大の極限で,プレ・ポテンシャルの振る舞いを調べ,それから得られる結果が物理的に期待されるものと一致することを確かめた。 2.質量のない物質場と相互作用するN=2超対称ゲージ理論から構成される位相的ゲージ理論について双対性を利用して,その位相的分配関数(Donaldson-Witten関数)を計算した。とくにSeiberg-Witten理論から得られる楕円曲線のモジュラ関数を用いた位相的相関関数の表示を与えた。この表示を用いて,K3曲面上における位相的分配関数が,本来のDonaldson-Witten関数が従うsimple type条件を一般化した方程式に従うことを示した。 3.高次元の位相的ゲージ理論を考える際に必要となる高次元インスタントン方程式に関する研究を開始した。高次元インスタントン方程式の幾何学が超弦理論の双対性で重要な役割を果たす超対称サイクルと密接な関係にあることに着目して,いくつかの予備的な結果を得た。この結果に基づく論文を,現在,準備中である。
|