研究課題
結び目のエネルギーとは、結び目の空間上に定義された実数値汎関数で、結び目が自己交叉しようとすると、無限大に発散するようなもののことである。荷電した結び目の静電エネルギーの概念を拡張して、何種類かの結び目のエネルギーを定義してきた。それぞれの結び目のエネルギーに対し、各結び目型の中に、そのエネルギーの値を最小にするような埋め込み写像(これをエネルギー最小元と呼ぶ)が存在するかどうか、という問題を研究してきた。今年得えられた成果で一番主要なことは、結び目が入っている多様体がコンパクトであるか、あるいは3次元双曲空間ならば、指数が2より大きいエネルギーに対しては、各結び目型にエネルギー最小元が存在するということを証明したことである。その他に、次の二つの成果を得た。一つは有限個の頂点を持つ折れ線結び目をエネルギーを減らすように変形していく数値実験に関することで、エネルギー極小に実験上達する度に頂点の数を倍増させていった場合の極限としてえられる結び目の形の意味付けについて、エネルギーの指数が3以上ならば、その結び目型の開苞に属するはめ込み写像(すなわち、自己交叉を持つ特異結び目)で、全自乗曲率を最小にするものであろう、という予想を得た。二つ目は、荷電した結び目の静電エネルギーの拡張ではない、幾何学的な結び目のエネルギーをいくつか定義した。これは自己距離等の量と関連を持っている。
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