研究概要 |
Gを連結な単純リー群とする.任意の基点付き空間Aに対し,AからGへの連続写像のホモトピー類集合[A,G]はGの積から導かれる演算に関して群である.この群に関し,この1年は,特にA=Gの場合を詳しく調べた.即ち,群[G,G]の構造解析を主たる目標として,この1年研究を行ってきて次の成果をあげた: 1.階数2の例外リー群G_2に対し,[G_2,G_2]の中心はH=Z_8【symmetry】Z_2【symmetry】Z_<21>を含み,商群[G_2,G_2]/Hは3つの生成元x,y,zと関係[x,z]=[y,z]=z^2=1,[x,y]=zにより定まる群である.しかもy^^〜∈[G_2,G_2]をy^^〜H=yなる元とすると[id,[id,y^^〜]]≠1.従って[G_2,G_2]の巾零指数は3である.また[SU(4),SU(4)]の巾零指数も3である.これらは昨年来の予想「nil[G,G]【greater than or equal】rank(G)」の信憑性を裏づけている. 2.上記予想の弱型「Gの階数が2以上なら[G,G]は非可換群である」は次のGについては成り立つ:SU(5),SU(6),Sp(3),Spin(7),Spin(8),E_6,E_8,F_4.更に,GがSpin(7),Spin(8),E_6,F_4ならばnil[G,G]【greater than or equal】3であり,E_8についてはnil[E_8,E_8]【greater than or equal】5である. 3.Gが「単純」という条件をはずすと,上記2つの予想は一般には成り立たない.また,空間としては同じであっても,その上のリー群の構造が異なれば,群[G,G]の構造は異なり得る(例:U(2)). 上記結果はGが単連結の場合のみであるが,単連結でない場合も現在研究中であり,若干結果を得ている.
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