研究概要 |
平成11年度はSefert多様体を生み出すDehn手術について,2つの異なった方向からの研究を行った.一つは結び目を周期的結び目に限った研究であり,もう一つは得られるSeifert多様体をレンズ空間に限定した研究である. 1.Seifert多様体を得る周期的結び目の特徴づけ. すでにこのような結び目の周期は2に限ることが示されている.今回さらに,この結び目を周期2で割ってできる結び目は,トーラス結び目という特殊な結び目でなくてはならないことが茂手木公彦氏(日大・文理)との共同研究でわかった.この結果は,与えられた周期的結び目からSeifert多様体ができるか否かの判定に使える. 一般に結び目のDehn手術から得られるSeifert多様体の底空間は2次元球面か射影平面である.しかし,周期的結び目の場合は2次元球面に限られることも証明できた. 2.指定された位数rを持つレンズ空間を得る結び目を特徴づけよ. この問題に対し,寺垣内政一氏(広島大・学校教育)は特徴づけを結び目の種数でもって行うことを思い付き,具体例の計算から「位数rのレンズ空間をDehn手術で作り出す双曲型結び目の種数gは2g+8【less than or equal】r【less than or equal】4g-1であろう」と予想した.そして合田洋氏(神戸大・自然)との共同研究でr【less than or equal】12g-7の成立を示した.今年度の研究により,彼らの結果をr【less than or equal】6g-1と改良することにほぼ成功した.しかし,予想のもう一つの不等式2g+8【less than or equal】rには全く手がついていない.
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