研究課題/領域番号 |
10640092
|
研究機関 | 東邦大学 |
研究代表者 |
小谷 元子 東邦大学, 理学部, 助教授 (50230024)
|
研究分担者 |
宮岡 礼子 東京工業大学, 理学部, 助教授 (70108182)
大仁田 義裕 東京都立大学, 理学部, 教授 (90183764)
塚田 真 東邦大学, 理学部, 教授 (10120198)
大口 剛史 東邦大学, 理学部, 助教授 (60168888)
志村 道夫 東邦大学, 理学部, 教授 (90015868)
|
キーワード | 調和写像 / フロッケ理論 / 熱核 / アルバネゼ写像 / ランダムウォーク / 推移確率 |
研究概要 |
研究計画に基づき、調和写像および曲面論への可積分系理論の応用を試みた。具体的には、可積分系理論でよく知られたフロッケ理論にアイデアを得て、コンパクトリーマン多様体上のツイストされた周期条件をもつ2階の楕円型微分作用素の解を調べることで、周期性を持つ(アーベル群の等長的、不連続な作用を持つ)非コンパクト多様体上の熱核の時間無限大での漸近挙動と、コンパクト多様体からアルバネーゼトーラスへの調和写像との関係をみた。更にこのコンパクト多様体からアルバネーゼトーラスへの調和写像の離散化を目的として、有限/無限グラフからリーマン多様体への調和写像を定義し、その第一、第二変分公式を求めた。非正曲率多様体へのイールズ・サムプソン型定理を確立し、平坦トーラスへの調和写像の写像のホモトピー類の中での最小エネルギーを持つ写像という形でアルバネーゼ写像を特徴付けた。正曲率多様体への調和写像の安定性については、離散版では、問題を局所化できないことがわかり、今後の興味深い課題である。離散モデルでのフロッケ理論の応用として、結晶格子上のランダムウォークの推移確の漸近挙動をアルバネーゼ写像を用いて記述できた。連続モデル、離散モデルいづれの場合においてもアルバネーゼ写像が現われる機構はミステリアスで、これを更に理解することで、群の作用が非アーベルである場合にも同様な結果を考えていくことが、今後の重要な研究テーマである。離散版の調和写像は、幾何学にあらわれる離散群の研究に役立つと考えられる。グロモフ・シェーンによる剛性定理への応用など、興味深い問題を含んでいる。
|