研究概要 |
位相諸空間の正規性という古くから研究されてきた問題に対して,我々は最近LF-netted空間という新しい概念を創出した。それを用いて1992年に提起されたこの方面に関する重要な問題(Zong's problem)に部分解を与えることができた。LF-netted空間の定義は,極めて自然で単純であるだけに,我々の部分解も興味あるものとなった。特に従来のM〓3〓-空間との関係がわかれば,Zong's problemの完全解決に向かって大きな前進となるであろう。 ところで,上記の方向の研究は,一方のファクター空間がLF-netted空間であるという仮定のもとでの積空間の考察を進めてきたわけである。途中で壁に当ってしまったこともあり,この度は方向を変えて,積空間全体の条件を考えてみた。これは次元論における重要な概念であるrectangulanをヒントにしたもので,ここで得られた新しい概念をspecial refinementと名付けた。一方のファクターがLF-netted空間である積空間は,この概念で一般化されることがわかり,研究は一歩前進した。それだけでなく,今まで得られた多くの積空間の正規性に関する結果が,この概念を用いて表現できてしまうことがわかった。さらには正規性を一般化した概念であるC-embedding,C〓*〓embedding,P-embeddingに関する積空間の結果にまで威力を発揮するという予想以上の効力があることまで確認できた。 上記のようにこのspecial refinementの概念は極めて有効であるが,その最大の欠点は定義がL-nettedのように単純明快でなく,多少人工的に見えることである。この定義の複雑な面をどのように改良していくかが今後の大きな課題である。またもう一つは,LF-nettedの定義は,単に積空間の正規性に応用するだけではあまりにもったいない程に自然で明快である。この概念の応用できるところは必ず他にもあるはずで,それを模索していくことも楽しみである。
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