研究課題
本研究の目的は、当初研究計画に記載した様に、数学的な基礎理論の確立であった。具体的には、偏微分方程式の「近似一般解」の構成法を数学的に確立することであった。98度は、既存の数学的な手法、数値解析的な手法等の解析を総合的に行い、われわれの目的に適合する方法を模索した。その結果、最終的に候補として残ったのは、当初の予想通り「有限差分法」と「有限要素法」であった。われわれは、とりあえすこの両者それぞれを用いて偏微分方程式の近似一般解の構成を試みたところ、どちらの手法も都合のよい代数的なアルゴリズムを生成することが確認された。また、理論的な誤差評価も得られた。上述のアルゴリズムの生成の過程で、われわれは「近似一般解」が、偏微分方程式に対する逆解析のための有効な道具となり得ることを発見した。そこで今年度後半は、近似一般解の逆問題への応用の可能性の理論的な研究に集中した。その結果、当初の研究実施計画には記載しなかった様な、予想外の新展開を我々の研究は見せることになった。99年度は、98年度の理論的な研究を踏まえて、主にコンピュータ実験に専念した。とくに、98年度の新展開であった逆問題への応用に重点を置いた。その結果、われわれの手法がインピーダンスCT等の実用的な問題への応用に適している事が分かった。残念ながら科学研究費によるサポートは本年で打ち切られるが、今後は実用的な逆解析への応用の道を研究・模索していく計画である。
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