研究分担者 |
仲田 均 慶応大, 理工学部, 助教授 (40118980)
白井 朋之 東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 助手 (70302932)
伊藤 秀一 東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 助教授 (90159905)
内山 耕平 東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 教授 (00117566)
志賀 徳造 東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 教授 (60025418)
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研究概要 |
タタイヒミュラー測地流の閉測地線に熱力学形式を応用しようというのが,本研究の中心課題であった.残念ながら,マルコフ分割によって構成される1次元格子模型が,従来の双曲的力学系のような有限個のスピンだけで記述出来ないことが障害となって,素数定理型定理を証明するまでには今回も至れなかった. とはいえ,中間的な成果をあえてあげるならば,リーマン面上の正則1次微分の軌道と区間入れ替え変換との関係を用いたVeechの方法に習って,写像類群の双曲類である擬アノソフ類の行列表示と測度付き葉層構造に対する基本変換の行列表示の関係を利用して,タイヒミュラー空間の長さスペクトルが格子分布でないことより強い主張に至ることができた. 上記の結果に至る仮定で考案した技法によって副産物として「有限面積をもつ双曲リーマン面上の測地流の閉軌道に関するセルバーグゼータ関数の解析接続をセルベーグゼータ関数を転送作用素のフレッドホルム行列式表示を用いて示すことができる」という結果に補足的な結果を付加することができた.より具体的には,考えている有限面積双曲的リーマン面に対応するフックス群のユニタリ表現を考慮したセルバーグL関数に,既に確立していた議論を応用することによって,Chabotarev型の閉測地線定理を昭明できた.このことは,本研究の最終目標が達成された場合,タイヒミュラー測地流に対しても累次の定理が成立することを意味しており,十分意義があると思われる. これらの結果の一部については発表の価値があると判断し,しかるべき専門誌への投稿を考えている.
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