研究概要 |
(1)空間統計学のモデルとして重要な高密度排反球系のモデルをハードコアポテンシャルを持つギブス点過程として構成するという研究課題に対し,次のような重要な結果を得た.「こうしたギブス点過程の密度は極限で,空間の最密充填密度に収束する.」これは,ハードコアポテンシャルを持つギブス点過程により可能な任意の密度を持つ高密度非反球系のモデルが得られることを示す.更に,そうした高密度非反球系のギブス点過程モデルを実際に計算機シミュレーションする方法として,シミュレーテッド・テンパリング法が有利なことを示す計算機シミュレーションを行った.研究成果はテクニカルレポートにまとめられ,統計誌Ann. Inst. Statist. Math.に投稿中で,現在査読結果を基に改定中である. (2)ギブス点過程の基本パラメータを統計的に推定する手法である「最大擬似尤度推定量」に関する理論的性質として,その一致性と漸近正規性を証明した.この結果はドイツの数学しMath. Nachr.に掲載された. (3)日本では未だ知られることの少ない空間統計学の普及を目指し,日本で最初の空間統計学の解説書を執筆中である.この本には空間統計学全般に渡る解説とともに,研究課題の基礎となるギブス点過程の基本的事実及び,その計算機シミュレーション法も解説されている.この本は共立出版社から平成12年前半の出版を予定している.
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