研究概要 |
リーマン空間における領域上で境界条件をもつ拡散方程式の基本解の存在を構成的な方法で示し,その領域摂動に関する安定性や狭義正値性を確かめ,また非斉次的な問題の解の基本解を用いた完全な積分表現を与えた.特に非斉次的な境界条件のときを扱うに際し境界上の新しい測度を導入し,それが確率論の立場からみても重要な意味をもつことを示した.更にここで得られた基本解についての結果を拡散過程の重ね合わせの問題に応用して,重ね合わせを表すマルコフ過程がフェラー過程として実現できることを示した.これらは 1998.7.20「拡散過程のsupe positionについて」,山口大学「ディリクレ形式に関連する最近の話題」研究集会(with Y.Ogura & M.Tomisaki) 1998.10.27「A constructive approach to diffusion equations with boundary condition」,熊本大学「マルコフ過程の解析的取り扱い」に関する熊本セミナーで口頭発表した. また上記の拡散方程式に対応する拡散過程の確率論的な表現である境界条件をもつ確率微分方程式の解の近似(特にオイラー・丸山近似の弱近似)のオーダーについての結果を得た. 更に解析関数の作る古典的なハーディ空間に属する関数のフーリエ係数に対して成り立つ,いわゆるハーディの不等式を,エルミートとラゲール多項式の作る直交系に対して証明した.またこの不等式はフーリエ変換に対しても成り立っているが,そのある意味での拡張としてハンケル変換に対しても類似の形で証明した.
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