疑似乱数と数値解析への応用

1998 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 10640117
• 研究機関: 岡山理科大学
• 研究代表者: 高嶋 惠三 岡山理科大学, 理学部, 教授 (00137184)
• 研究分担者: 宗政 昭弘 九州大学, 大学院・数理学研究科, 助教授 (50219862) ; 兵頭 義史 岡山理科大学, 理学部, 助教授 (90189811) ; 引田 萬里 岡山理科大学, 理学部, 助教授 (10098593) ; 堀田 良之 岡山理科大学, 理学部, 教授 (70028190) ; 竹中 茂夫 岡山理科大学, 理学部, 教授 (80022680)
• キーワード: 擬似乱数 / 確率数値解析 / random walk / 有限代数 / 統計的検定

研究概要

疑似乱数の生成法とそれに対する統計的検定法について研究した。特に、確率過程論の中で最も基本的でありかつ重要なrandom walkの見本関数の汎関数を用いて、与えられた擬似乱数生成法が、確率過程のシミュレーションに適しているかどうかを、判定する方法について研究した。この方法の長所は、非常に長い乱数列の検定を行えることにあり、また実際のシミュレーション(偶然性に基づく現象や、確率過程などの)に適さない生成法を明確に判断できる点にある。従来の統計的検定法や理論的研究は、非常に長い乱数列の検定に適さないものであったり、乱数列の周期全体を使うため、部分的な性質を反映できない、などの欠点があった。上記の、random walkの見本関数の汎関数を用いる検定方法により、従来、よい疑似乱数として広く実用に今日されていた、M系列擬似乱数や加算生成法、さらにはcellular automatonによる擬似乱数などの生成法が予想に反して確率過程のシミュレーションには不適当であることが判明した。さらに、代数的組み合せ論や離散Fourier変換などを用いた結果と組み合わせることにより、M系列擬似乱数に特徴的な、統計的偏りを理論的に説明できることが解った。これらの結果を発展させて、M系列擬以乱数や、加算生成法、cellular automatonによる擬似乱数などを改良する方法を考案した。この方法はrandom walkによる統計的検定に関して、上記の生成法より格段によい疑似乱数といえるが、理論的説明は今後の課題である。Y-K.Choi教授(韓国Gyeongsang NationaIUniv.)を招聘し、上記の研究を独立増分性を仮定しない確率過程の観点から、reviewしていただいた。

研究成果

• [文献書誌] Takashima,K.: "Random walk tests of pseudorandom number generations by cellular automata" Proceedings of the 3-rd St.Peterburg Workshop on Simulation. 302-305 (1998)
• [文献書誌] Takashima,K.: "Random walk tests and Pseudorandom number generators" Proceedings of International Conference of Mathematical Analysis and Applications. (掲載予定). (1999)
• [文献書誌] 高嶋恵三: "擬似乱数とrandom walk検定" 計算機統計学. 掲載予定 (1999)
• [文献書誌] 高嶋恵三: "Cellular Automaton擬似乱数に対するRandom Walk検定" 数理解析研究所講究録. 1032. 148-151 (1998)
• [文献書誌] Munemasa,A.: "Orthogonal arrays,primitive trinomials,and shift-register sequences" Finite Fields and Their Applications. 4. 252-260 (1998)
• [文献書誌] Munemasa,A.: "Duality maps of finite abelian groups and their applications to spin models" J.Algebraic Combinatorics. 18. 223-233 (1998)
• [文献書誌] 堀田 良之: "環と体 2(体論)" 岩波書店, (1998)
• [文献書誌] 堀田良之: "簡約群の表現論" 日本評論社, (1998)