研究課題/領域番号 |
10640122
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
岩田 耕一郎 広島大学, 理学部, 助教授 (20241292)
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研究分担者 |
中村 宗敬 山梨大学, 教育人間科学部, 助教授 (10227944)
久保 泉 広島大学, 理学部, 教授 (70022621)
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キーワード | 確率場 / 等角構造 / 保型形式 / wick積 / コーシーリマン方程式 |
研究概要 |
研究対象とする等角不変確率場はモデュラー共変性という高い対称性も持つ。その有理点上での多重相関関数の値は、いくつかの具体例においてそれらが保型形式であることが確かめられている。当面の目標は、これが成り立つような確率場のクラスを広げることであった。一つの方向は、2次元トーラス上の等角構造を上半平面でパラメータ付けする際のモデュラー群の作用をモデルとすることである。確率場は非同次コーシーリーマン方程式の解として定まるものである。解のモデュラー共変性が多重相関関数を有理点で評価したものの保型性を導く。楕円関数を用いた解の表示から、保型性を壊さずに高次の重みを持つ汎関数renorma1ized productが自然に構成され、表現できる保型形式のクラスを広げることができた。これは、場の量子論において、2次元空間ではwick積で記述される汎関数が豊富に存在することとの関連を示唆している。そこには、グリーン関数の対数関数的特異性が強く反映しており、更にその根元は2次元空間のもつ等角構造にある。今後は等角構造がrenorma1ized productをどのように規定するかを明らかにする方向へ研究を発展させる必要がある。これは表現可能な保型形式の特徴付けを明らかにすることとも関連している。一方この手順はポァッソン点過程に基づく多重ウィーナー積分をpartitionのタイプに対応して分解するときのアナログである。確率場のユークリッド自由場への収束が、同時にrenorma1ized productのwick積への収束を導くことが上のアナログの証明となる。ポァッソン点過程を可解性を満たすファイバー上で条件を付けて得られるものを非同次項としている場合の解は粒子密度が大きい極限でwick積へ収束することが示せた。
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