研究概要 |
Euclid空間R^d内の有界領域Ω上で定義された強非線形楕円型境界値問題 ∫_Ω(a^^→(λ,x,u,▽u)・▽v+f(λ,x,u,▽u)v)=0,∀v∈H_0^1(Ω) を考察してきた。ただし、a^^→,fは十分滑らかな関数とする。F(λ,u)を、上の問題から定義された非線形作用素とする。問題が発散形式で定義されているので、この問題に対する有限要素解(λ_h,u_h)は、自然に定義される。古典的なKantorovichの定理、あるいは誤差評価付の陰関数定理をもちいて以下のような結果を得た。もし、作用素F(λ,u)の真の解(λ,u)におけるuについてのFrechet微分D_uF(λ,u)が適当な関数空間の間の同型写像になっているならば、真の解(λ,u)のごく近傍に有限要素解(λ_h,u_h)が存在し、さらに標準的な形の誤差評価が成り立つ。 この結果は、いくつかの形で拡張することができる。解曲線が返り点(turning point)を持っていても、適当な方法で上と同様な結果を得ることができる。ただしこの場合は、有限要素解の誤差は|λ-λ_h|+‖u-u_h‖【less than or equal】C‖u-Π_hu‖という形で評価される。また、誤差|λ-λ_h|は誤差‖u-u_h‖よりはるかに小さいことが、しばしば観察される。このことが数学的にきちんと説明できることを示した。 方程式が移流項を持つ場合には、いわゆる風上型の近似スキームを用いる必要があるが、その場合離散化された作用素は微分可能でなくなる。この場合も、もし離散化された作用素が"擬微分"を持てば、上と同様な結果が得られることを示した。
|